最高裁判所第一小法廷 昭和24年(新れ)191号 決定 1950年2月02日
主文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
弁護人小林弥之助上告趣意について。
上告の申立は、刑訴第四〇五条に定めてある事由があることを理由とするときに限りなすことができるものである。同第四一一条は、上告申立の理由を定めたものではなく、同第四〇五条各号に規定する事由がない場合であっても、上告裁判所が原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると認めた場合に職権をもって原判決を破棄し得る事由を定めたものである。しかるに弁護人小林弥之助の上告趣意は憲法第三一条を云々するがその実質は明らかに単なる訴訟法違反の主張に過ぎず所論は、すべて明らかに同第四〇五条に定める事由に該当しないし、また同第四一一条を適用すべきものと認められないから、同第四一四条、第三八六条第一項第三号第一八一条により主文のとおり決定する。
この決定は裁判官全員の一致した意見である。
(裁判長裁判官 真野 毅 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎)